メガネ・フィッティング調整研究会

メガネ・フィッティングの奥深き世界とは

こういうメールが来て


本会代表 岡本隆博

平成25年の5月に、本会の代表者あてに、一通のメールが来ました。
個人情報的な内容は含まれていませんので、原文のまま掲載していいですね、とお尋ねしたのですが、それに対して返事がないので、原文のまま掲載するのは避けることとし、当方に来たメールは要旨のみを紹介し、それに対する当方からの返事は、 全文をそのまま掲載します。



ユーザーからの一回目のメールの要旨
・メガネのフレームが歪んでしまい、調整をしようとネットで調べ、貴会のサイトを発見した。
・貴会の会員店であるA店を訪問したところ、いい加減な調整をされて、メガネのゆがみは治っていない。
・非常に残念である。

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このメールに対して私は、下記のメールを送りました。
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メガネフィッティング調整研究会の代表者の岡本です。
おしかりをいただきました。 この件をA店さんに、詳しく尋ねてみたいと思います。
お客様の、年齢性別、いつご来店になったのか、ということをお聞かせいただけませんでしょうか。
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すると、下記の要旨の返信がありました。
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・個人情報については、収集する意図がわからないので、控えさせていただく。
・A店に比べますと、同じく市内にあるBメガネの方が遥かに優れていると思います。
しかし、残念ながら、その優秀な技術者はいまは退職された。
・今回の事で、フィッティングというのが眼鏡屋さんにおいて、ほとんど重要視されていないのが身を持ってよくわかった。
・日本での意識向上と言うのは大変難しいものになるかと思うが、陰ながら応援させていただく。




そこで私は下記の返信を送りました。
++++++++++++++++++
岡本より
個人情報については、収拾する意図がわかりかねます、とのことですが、前回のメールで「A店さんに問い合わせる」と書きました。

今回のおしかりの件を当方からAさんに(釈明や反省を求めつつ)詳しく問い合わせる場合に、たとえば、今月の13日にメガネの調整でご来店された40代の男性、とか、ある程度具体的に言わないと、Aさんの方でも答えようがないと思うのです。
もちろんですが、お名前とか住所とか電話番号などはお尋ねしていませんので、個人情報にはあたらないと思いますが、おっしゃりたくないのであれば、あえて繰り返しお尋ねすることはしないでおきますが、そのかわり、Aさんに、 今回のお客様のことについて問い合わせるのは、控えさせていただきます。

それから「フィッティングというのが眼鏡屋さんにおいて、ほとんど重要視されていないのが身を持ってよくわかりました。」としておられますが、そういう店が多いというのはたしかに、おっしゃるとおりです。
我々「メガネフィッティング調整研究会」のホームページにも書きましたが、現在わが国では(世界でも)メガネのフィッティングに対して、十分な見識と実際技術を持っている眼鏡技術者は非常に少ないのです。

また、同じ店に複数の店員がいた場合に、それらの店員の間でも、技術レベルの差が大きい場合もよくあります。
それは我が国だけでなく世界中どこでも大同小異です。
だからこそ我々は研究会を組織し、あのような広報活動もしているのですが、今回は、結果がうまくいかなかったようで、申し訳なく思っております。
ただ、もともとメガネ店は、自店で販売したメガネ以外は、調整などであまりさわりたくないのです。

その理由は、いろいろあるのですが、

まず、ユーザーの方の意識として、どこで買ったメガネであろうと、ちょっとした調整くらい無料でやってもらって当たり前、と思っている人が多いので、(それは、わざわざ「他店購入のメガネでも無料調整します」 などという無責任な宣伝をチラシなどで行なう業者にも責任の一端があるのですが)ほとんどのメガネ店では、他店販売のメガネに対して調整料金を請求しにくいわけです。
それをもらうと言うと、ぼったくりの店であるかのように思われかねないので、営利企業すなわち、商売としては、それを言わないのが得策なわけです。

自店で販売したものではない商品のアフターケアーを無料ですることについて気を入れて取り組む業者は、さほど多くないと思います。

そして、他店販売のメガネの調整をしていて、もしも不測の事態が起こってそのメガネが使用不能になってしまった、というようなことがあれば、責任問題になってきますし、もしそれを弁償するとなると、自店で販売したメガネとは違って、 前にそのメガネで利益を得ているわけではないので、それによる損失は無視できないものとなります。

そこまでのリスクを冒して、好んで他店購入のメガネの調整をしたいと、本心から思っているメガネ屋さんがこの世の中にいるとは、私には思えません。

そうかと言って、他店購入のメガネだからという理由で調整依頼を断ると、冷たい対応、と受け取られて、そのことを近所で言いふらされたりすると困りますし、やはりこれも商売上の損になるので、他店購入のメガネの調整依頼も一応は引き受けて、 お茶濁し的な調整をしておく、というケースが多くなるわけです。

しかも、それが報酬なしの仕事、となると、いきおい、しっかりとした調整というのには身が入りにくく、ほとんどちょっとさわるだけですませる、なんてこともしかねないわけです。

なかには「他店でご購入のメガネでも無料調整いたします。どうぞお気軽にご来店を!」などとちらしなどで宣伝をしているメガネ店もありますが、その狙いは、私がここで書かなくてもお分かりいただけますよね。

もしもそれにつられてその店へ自分のメガネを持っていくと、私の想像では、「これはこれ以上の調整無理ですね。新しくメガネをおつくりになったらどうでしょう?」なんてことになるケースも多いのではないかと思います。

しかし、そういうことではいけない、ということで、われわれはメガネフィッティング調整研究会を作って、あのような内容の広報もしているのです。

それで、すんだことはしかたがないとしまして、いま、大事なことは、現在まだ具合が良くなっていないお客様ご自身のメガネを、どうするか、ということです。

私の提案を書きます。

メガネの調整は、それをお求めになったお店でしてもらうのが良いのですが、引っ越しをされたとか、そのメガネを買った店が閉店してしまったとか、あるいは、買った店ではうまく調整してくれなかったとかいうようなことで、 購入店には持っていけないということであれば、

●提案1

もう一度Aさんへいらっしゃって、その店の店長さんを呼んで、

・メガネフィッティング調整研究会のHPを見て来た。
あの6つの条件を承諾する。

(参考) たとえば、条件1については、どこの店で買ったメガネかということがわかりますと、一見して材質のわからないプラスチック枠でも、その素材の推測がつき、調整しやすくなるということもあるのです。
・前回の貴店での調整ではまだほとんど良くなっていない。
・調整は有料でよいし、万一破損などがあれば、それはそれであきらめる。
この店で一番調整が上手な人に、十分に技術を発揮して調整をやってほしい。
・いま、自分はこのメガネにおいて、こういうことで困っているので、これを解決してほしい。


という趣旨のことをまずおっしゃって、それから調整をしてもらわれたらどうでしょうか。

というのは、ふらっと店に通りがかりで入ってきたと思われる人から、他店購入のメガネを、単に「歪んだので調整してほしい」と言われるのと、上記のような前置をちゃんと言われて、それから調整にとりかかるのでは、 調整する方も、これはロボットではなく人間ですので、まったく、心構えが変わってきます。
そうすると当然ながら、対応の密度もレベルもかなり変わってくるわけです。

上記のような前置を聞いてから調整にとりかかるのであれば、おそらくはその店で一番上手な人が対応するでしょうし、調整作業の内容も、より丁寧に細心の注意力を持っておこなうようになるでしょうし、万一、何らかの理由で、 元のような良い具合には戻せそうにないというのなら、その理由をちゃんと説明すると思います。

なお、蛇足としてつけくわえますと、当店の場合でも、お客様から特に詳しく事情を聴くことがなく、HPを見たとも言われずに、あらかじめの電話での予告なく来店されたかたから、他店で購入されたメガネの調整を依頼された場合には、 (しかも、そのときに運悪く忙しいときだったとか)お客様のご要望や説明の多寡や、枠の具合によっては、枠を傷めない程度のゆるい調整ですませてしまい、その結果、お客様のご満足がいかない、ということになってしまうケースも、 絶対にないとは言えません。

●提案2
Bメガネさんのどこかの支店で、その店の中で調整が一番上手な人を呼んでもらって、有料でもよいので調整してほしい……
と言って調整してもらう。

もちろん、そのメガネがどう具合が悪いので、どう直してほしいか、ということは、詳しく言う。
それから、いずれにしても、

調整してもらったときには、それでよいと思っても、あとでまだダメとわかってくることもあります。

(今回のあなたの場合もおそらくそうだったのでしょう。調整が終わったそのときにお客様が「まだだめ」と感じられたのでしたら、当然、その旨をお客様はお店のかたにおっしゃるはずですので、そうなればお店のかたも調整を継続して、お客様がOKを出されるまで調整されたはずですので)

ですので、調整が終わって店を出てから、しばらくは店の近所を歩くなどして、それでもし、「まだだめ」と思えば、もう一度店に戻る……
というふうにされたらよいと思います。

ただし、これは当然ですが、どんな怪我でも完治させる名医はいないわけですし、どんな怪我でも完治するとは限りません。
メガネの場合も同様で、どんなゆがみでもきっちり完璧に治せるとは限りません。
ただし、そのゆがみなどが大したものではなかったのなら、調整者のレベルが高くなればなるほど、元のように、あるいはそれ以上に戻る確率は上がるわけです。

ただし、材料の弱り具合など、事前に予測できない場合がありますから、ごくまれにですが、調整作業をしていて、たとえばメガネの腕がポキッとおれてしまう、なんてことは起こりえます。
それは調整をきっちりやる場合ほど起こる確率が高く、調整の上手下手とは、ほとんど関係がないのです。
というか、枠のゆがみ直しなどを真剣にしないで、ゆる~いことをしてごまかしておく場合ほど、破損の確率は少なくなるわけです。

最後になりますが、私どもへの応援をありがとうございます。
今後とも我々は技術を磨いていくつもりです。



岡本
このかたとのメールのやりとりは、ここで終わりました。
このメールのやりとりを見たわれわれの研究会の会員からのコメントがあり、それを基にして私も発言をしましたので、以下にそれらを紹介します。

浜田

この「他店購入メガネの調整依頼」に関しては、私はいつも対応を難しく感じています。

当店は、立地上「メガネを購入するのは高知市内、直しは地元のメガネ店(ハマヤ)」 というかたが少なくありません。

購入店へ持っていかない理由は、ほどんどが「面倒だから……」です。
自店は基本的に、「調整は、お買い上げ店にどうぞ……」とい姿勢ですから、そのことをお客さんに告げると、たいていはイヤな顔をされます。

「調整料金がかかります……」というと、これもイヤな顔をされるかたが多いです。

もちろん、ちゃんとした理由があれば、誠実に他店メガネでも調整していきますが、当方が納得できる理由で当方に調整を依頼されるかたは年に一人か二人です。

なお、先日、他店購入メガネのネジを締めてあげたかたが500円支払ってくれました。
(簡単なことでしたので、無料でいいと当店は言いました)

このかたは、メガネの購入店で「もし、このメガネを他店で調整してもらうときや、ちょっとでも触ってもらったら、必ず料金を支払うようにお願いします。それがマナーです、と教えられました」とおっしゃいました。

ウーン、マナーを教えるメガネ屋さんがいたとは……。

野々村

マナーの件は、目からうろこですね。
当店は今からそのようにワンポイントアドバイスします。

岡本
他店で買って自店へ調整に持ち込むかたにも嫌われたくないと思って、なあなあでいい加減なごまかしの調整をしていると、いつまでたっても、現状の改善はないでしょう。

当店では、例の6つの条件
http://usukal.biz/fitting/1202193.html
をプリントアウトして、それをラミネートして用意してあり、

他店購入の枠を調整にもちこまれたかたには、まず、「お買い求めのお店へ」、と言いますが、
・そこへ行ってもらちがあかない。
・そこは遠い。

などの理由で、この店でお願いしたいとおっしゃるかたには、その6条件ををお見せします。
そうすると、

・むっとして(あるいは文句を言って)帰る人。
・わかった、と言って調整を依頼する人。
・「あ、これは承知のうえでこの店に来たんです」と言う人。
(当店のHPの中のフィッテイングの箇所か、メガネフィッティング調整研究会のHPかのどちらかを見たかたです)


浜田さんは「ちゃんとした理由で調整を依頼されるかたは年に一人か二人」とのことですが、当店の場合ですと、6条件を承諾していただいて、あるいは、前もって「有料」 と 「不測の事態があっても責任はとれない」 という ことを言ってから調整にかかる人は、一か月に一人か二人くらいでしょうか……。

それで自店で販売したメガネのアフターについては、通常はもちろん当店へおこしいただくのですが、しかしたとえば、普通のメガネ屋にはめったにないようなメガネを、他府県などのかなりの遠方から当店に来てお買い求めいただいたかたの場合には、下記のようなことを申し上げています。

・メガネ枠の調整を希望される場合には、たとえば、けっこう歪んでしまった場合でも、フィッティングデータはカルテに数値で記録を残してありますから宅急便で送ってくだされば、もとに戻せます。
代わりのメガネがあるのなら、ぜひ当店へお送りください。
・ネジのゆるみとかのちょっとした調整なら、お近くのメガネ店に依頼されてもよいのですが、その場合、まず、クリーニングクロス(ペーパー)だとか、クリーニング液だとかを買って、それから調整を依頼されるとよいです。
・めったにないことですが、何かにあたって大きく歪んでしまい、そのままでは、そのメガネをかけて歩くこともできないし、代わりのメガネがない、というような場合には、近くにあるメガネ屋さんに飛び込んで事情を話して、 「万一の場合には壊れてもあきらめるので、やってみてほしい」と言うのがよいです。
そうでなく「壊れない範囲で治してほしい」などと言ったら、それは無理な要望となります。


以上のことを踏まえて、本研究会の代表者である岡本から、別の項目としてまとめました。

それを「ユーザーのかたがたへのお願い」「メガネ店のかたがたへのお願い」としてそれぞれ記事にしましたので、そちらもご覧ください。

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