メガネ・フィッティング調整研究会

メガネ・フィッティングの奥深き世界とは

メガネ店のかたがたへのお願い

ではここで、他店購入のメガネの調整について、それをお客様から依頼された眼鏡店のかたがたへの、私自身の考え方やお願いを述べます。
これは、本会の会員の店だけに、ではなく、すべてのメガネ店さんに対するお願いです。
場合に分けて、述べてみましょう。

1)緊急性を要しない場合

なんとなくずり落ちやすい、最近耳の付近の当たりが夕方以降になるとじわっと痛む……
などの、緊急性を要しないもので調整を依頼された場合には、原則として断る、すなわち、購入されたお店へ行ってもらうようにおすすめするのがよいです。

その理由は、これまでにこのサイトで何度か書きましたので、ここで改めて述べるまでもないと思います。

ただ、購入店へいらっしゃることをお勧めするにあたっては、のっけから「購入店へ!」と言うのではなく、たとえそれが見覚えがないブランドのメガネなんかで、自店では扱っていないものであったとしても、次のように、まず尋ねてみるのがよいと思います。

1)「このメガネは、当店でお求めいただいたものでしょうか」

これにたいして意外にも「はい」という答えが返ってくることがあります。
その場合にカルテで調べると、枠お持込で当店ではレンズのみを入れたのだ、ということが多いのですが、お客様の意識では、「このメガネはここで買った」ということになっているのです。

そういう場合、一応はそのかたは「当店ですでにお客様としてお迎えしたかた」ですので、失礼なことは言えませんし、まあ、枠の調整依頼は受けないとしかたがないでしょう。

上記の1)の質問に対して「いえ」という答えであれば、

2)「メガネは、そのメガネの材質とか構造とかをよくわかっている、お求めのお店で調整をしてもらわれるほうが、うまくいく場合が多いので、このメガネも、お求めのお店へ調整に持って行っていただきたいのです」と申し上げます。

それに対しては、いろんな反応があります。

ムッとしたり、プイっと横を向いたり、「ふうん、えらい冷たい店やね」などと捨てゼリフをのこして、じだんだ踏むような感じで店を出ていく人・・・・・。

これは決して自店のイメージアップにはならないことなのでしょうが、でも、これはこれでしかたがありません。

人間でも店でも、八方美人は、結局たいしたことができないし、八方美人をした結果、その相手のためにならないようなハメになることもよくあります。

何らかの依頼を断るべきときには断るのがよいのです。

ところが、上記の2)に対して、何らかの理由を挙げて

「ここで何とかお願いできませんか」とおっしゃるかたもおられます。
たとえば、購入した店が閉店してしまったとか、最近この街の引っ越してきたとか、購入店へ何度も行ったが、かけ心地が改善しない、など、その理由が納得できるものであれば、お引き受けするのもよいでしょう。

* 蛇足ですが、スクラップアンドビルドが多いチェーン店などでは、その店の閉店により、そういうことになる確率が高いので、そういう店でメガネを買うのは、要注意かもしれませんね。

それで、お引き受けする場合には、もちろんですが、例の6つの条件
https://usukal.biz/fitting/1202193.html
を述べて(これをプリントアウトして、ラミネートして用意しておくのが賢明です)それを承諾していただいてから、作業にとりかかるのがよいです。

ところが、もしも、1)や2)の質問もしないままでこのメガネは他店購入のものだなとわかっていながらも、「はいはい」と、とにかく、一応は無料で引き受けて、調整作業は適用にお茶を濁す、という方針のお店は、 今後はそれはそのやりかたを改めていただきたいと思います。
そんなやりかたでは、きちんとしたフィティングができそうに思えませんので。

とにかく商売上で損にならないように、店の印象を悪くしないように、ということよりも、本当にそのユーザーのためになるのはどういう対応なのかということを、胸に手を当てて考えていただきたいのです。

どのメガネ店のかたも、一様に「ユーザー本位」という理念を掲げておられると思いますが、すべての来店者に対する、表面でのあたりの柔らかさ(迎合)を最優先してその場しのぎの「嫌われ防ぎ」的な弥縫策(びほうさく)を講じるのは、 決して「ユーザー本位」ではなく、それは「店本位」にしかならないのです。

そのメガネのかけ心地を良くするためには、あるいは、今後ユーザーが本当に快適なメガネを装用できるようにするには、ということをよく考えて、しかるべき対応をする、ということが、真の「ユーザー本位」なのではないでしょうか。

さて、それで、さきほども少し書きましたが、他店購入のもので、特に緊急ではない調整を自店に持ち込まれた場合で、
(1)「その店が廃業閉店してしまった」
(2)「遠方から、最近引っ越して来た」
(3)「買った店で何度か調整してもらったが、うまくいかないの」

などという答えであれば、一応納得できます。

特に(3)の答えなら、「それで当方では調整が上手だとか、誰かに聞いてこられたのでしょうか」とか言うことにより、そのお客さんに当方の調整技術の価値観を改めて感じてもらうことができます。

(4)「通販で買ったのです」
と言われたら、すんだことはまあ、しかたがないにしても、一応はお客さんに通販メガネの問題点を説明し、今後は通販を利用されないように要望してから調整にとりかかりたいですね。

↓下記をご参照ください。

https://eyetopia.biz/tuhan/

私の場合であれば、今後は通販でメガネを買わないことを約束してもらってから調整にとりかかりたいです。

また、たとえば、

(5)「海外で買ったのです」
とおっしゃったのなら「メガネは買った店でのアフターケアーが原則ですので、今後は海外ではお求めにならないことをおすすめします」と言いたいです。

上記の(1)~(5)のような場合なら、まあ、当店で調整して差し上げないとしかたがないかな、と私は思うのですが、そうでなく、

(6)「買った店は少し遠いのです」
「そうですか。遠いい店なら、買うときには車か電車で行かれたんでしょうね」「はい。車で30分くらいです」「だったら、調整も車でその店にいらっしゃればよいです。なぜなら……」

と、メガネの調整は買った店でするべき、ということの理由を説明します。

買うときには、大きな町でメガネを買いたいとか、超安売りの宣伝を見て、とかの遠いところにある店へ車や電車で行ったのに、調整は近隣の店でさせる、などという得手勝手なユーザーに便利屋として使われるのは 御免こうむりたいですね。

自分の調整技術にプライドを持っている技術者ほど、そうだと思います。

それで、「その店で買われたのでしたら、そこで調整もしてもらわれたらいいと思います」と言って、お引き取りを願えばよいのですが、そのときにひとこと「そこで調整してもらってもうまくいかないときには、もう一度当店へお越しください」 と付け加えておきます。

そうなったときには、その人は、店による調整技術の差を思い知ることになり、当店での調整技術に対する評価が上がるわけです。

そうでないと、どこの店へも調整に持ち込まずに、初めて当店へ来た人の場合であれば、個々の店による調整技術のレベルの差などは、わからないまま、というか、自店の調整技術のレベルを感じないわけですので、それに対して対価を支払うということにも、 乗り気にならないでしょう。

逆に、いったんほかの店で調整をしてもらってうまくいかないので、また当店へ来られて当店でうまくいった、というのであれば、調整料金を支払うのに、まったく抵抗を示されないのが普通です。

そういうふうな事情や経過で「調整料金を喜んで払うお客さん」は、当店の場合でも、けっこうおられるわけですし、メガネフィッティング調整研究会の会員店とか、あるいは、調整技術が非常に優れている眼鏡技術者のかたであれば、 ときどき経験しておられることだと思います。

なお、これは、めったにないことですが、そのユーザーが必要とする(ウオンツではなくニーズです)メガネが、近隣のメガネ店(自店もふくめて)にはどこにも見当らなくて、他県で電車で3時間かかるとか、相当に遠いところの店にあり、 しかも、今回依頼されている調整は、さほど難しいものではなさそう、という場合なら、そのかたは、いわゆる「勝手なユーザー」ではないのですから、相手の耳が痛くなるようなことは言わずに、例の6つの条件を承諾してもらって、 調整にかかるのがよいと思います。

たとえば、自分には剣道の面に入るメガネが必要なのだが、剣道専用のメガネを自店も近隣の店も置いていなくて、他県にある店まで行って買った。

そのメガネのクリングスがものに当たったらしく少し曲がった、などというのであれば、そのメガネはユーザーの見栄とか勝手気ままでその遠い店で買ったのではないし、クリングスの調整だけで、またその店まで高い旅費をかけていくのは大変でしょう。
そういう事情なら自店で調整をして差し上げるのが妥当だと言えます。

その辺のところは、結局はその技術者の良識で判断できると思います。

2)緊急性を要する場合

これまで述べたのは、緊急性を要しない調整の場合です。
では次に緊急性を要する場合について述べてみます。

通りがかりの人が「そこの角で人とぶつかって、メガネが大きく歪んでしまった」と言って店に飛び込んでこられたとか、あるいは、近所の人が、「朝起きてみたら、枕もとにおいてあったメガネがつぶれそうになっていた」 とかで、ここままでは到底そのメガネを掛けておれない、しかし、そのメガネの購入店は、このすぐ近くではないので、いまからそこへ持っていくのでは間に合わない、というような、緊急性を要する場合には、いわば、ケガや急病で救急病院へ来る救急患者さんのようなものですので、 たとえ自店で販売したものではなくとも、断らずに引き受けるのが常識のあるメガネ技術者だと思います。

少し大げさに言えば、それは専門技術者(プロフェッショナル)の社会的使命のひとつであり、もしも、そういう依頼までも「これは他店購入のものだから」という理由で断るというのであれば、それは眼鏡技術者の風上にも置けない人物であり、 武士の情けを持つべき「眼鏡士」の風上におけない人物だと言えるでしょう。

またもし、そういう対応を社員に命じているメガネ店の経営者がいたとすれば、その人物はメガネ屋というものの社会的な意義というものをまったくわかっておらず、単に自店でもリスク負担や面倒を避けたらよいというだけの、技術者としてだけではなく 商売人としても、低級な精神の持ち主だと言えるでしょう。

ただし、もちろんですが、そういう緊急調整修理の依頼を受ける場合にはそのメガネを調整することのリスクや調整料金については、前もって申し上げて了解を取っておきます。

それでもしもそのユーザーがそのリスクを認めることができなかったり、あるいは「えっ!お金を取るの?!」などと言ったりする、専門家に対する評価の念がない人物であったり、あるいは、「壊れない範囲で治してほしい」などと身勝手なことをおっしゃるのでれば、 そのかたには合理的な判断力も常識もないものと見なして、そういうかたからのご要望には添う必要がないと言えますので、そのメガネ調整をお断りし、購入店か、近隣の他店で、「壊さないで、しかも、ちゃんと直すことを保証してくれる店」 へ行ってもらうように言えばよいと思います。

たとえば、チェーン店などでは、他店購入のメガネで、緊急性がある場合とない場合の区別もせず、なぜ自店にそれが持ち込まれたのかを斟酌することもせず、単純に、常にイエスかノーかのどちらかに偏る対応、すなわち、下記のa)かb)かのどちらかにしなさいと、 経営者が社員に命じているケースがあるようです。

a)他店で購入されたものについては、調整を一切お断りする。

b)他店で購入されたものでも、その調整を依頼されたら必ず笑顔で親切に引き受ける。(中には、それを宣伝している店もある)


上記のa)は、リスク回避を最優先、そんなものを引き受けても経営上プラスにはならない、という考え方ですし、逆にb)は、人気とりを最優先とか、、少しでもそれ以後のご愛顧につながる可能性があることは無駄にせずにくいついていく、というダボハゼ的な姿勢、ということです。

これらのどちらの方針も、すなわち、a)もb)も、私には不適切であると思えるのですが、その理由については、これまでに私がこの問題についていろいろ書いてきたことから、お分かりいただけると思います。

ですから、我が国のすべてのメガネ店の経営者のかたがたに、私は、他店購入のメガネについては、ここで私がお勧めしたような対応をお願いしたい

と言いたいのです。

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